倒す方向は、庭の都合より先に木の側で決まっている
庭木をどの方向へ倒すかは、切る人が地図を見て自由に選べるものではありません。
先に、木のほうに倒れたがっている方向があります。
決めているのは主に二つです。
幹の傾きと、枝の付き方の偏り。
まっすぐ立って見える木でも、根元にしゃがんで幹を見上げると、たいてい少しどちらかへ寄っています。
枝も同じで、日の当たる側に多く伸びて反対側が薄い、ということが普通に起こります。
この二つを合わせた重心の位置が、そのまま木の倒れたい方向です。
ロープをかけて反対側へ引けば方向は変えられますが、振れる幅は無限ではありません。
重心と正反対へ倒すのは、幹が太いほど難しくなります。
ですから現場では「この方向へ倒したい」から考え始めるのではなく、「この方向へは倒れる。
ではこの庭で受けられるか」の順で見ていきます。
庭の形に木を合わせるのではなく、木の向きを庭が受けられるかどうかの判断です。
切る手順のほうも、方向はチェーンソーの角度で作るものではありません。
倒したい側の幹に、三角形の切り込みを入れます。
これを受け口といいます。
木はこの三角の口が閉じる向きに倒れるので、受け口を向けた方角がそのまま倒れる方角になります。
反対側から水平に切り進めるのが追い口で、幹を切り離しきらずに一部を残したまま押すと、その切り残しが蝶番のように働いて方向が保たれます。
方向を決めているのは、この二つの切り込みの位置関係です。
倒れた木は、樹高と同じ長さの帯を地面に取る
立っているあいだ、木が使っている地面は根元の一坪にも満たない広さです。
ところが倒れた瞬間に、木は横に寝ます。
そのとき占める長さは、樹高とほぼ同じになります。
2階の窓を越えるくらいの木なら、根元から5m前後の帯が地面に要る、ということです。
見落としやすいのは長さより幅のほうかと思います。
枝が横に張っている木は、幹が着地したあとに枝が左右へ倒れ込みます。
幹が通る線だけを空けても、その両脇に一輪車や植木鉢が置いてあれば枝が当たります。
空けておくのは線ではなく帯だと考えると、必要な広さの感覚が合ってきます。
歩数で測る
巻尺を出さなくても、その場で見当はつきます。
根元に立ち、木が傾いている方向へ普段どおりに歩いて歩数を数えてください。
歩幅は人によって違いますが、成人が普通に歩くと一歩でおおむね70cm前後です。
5歩でおよそ3.5m、7歩で5m弱。
木の高さの見当がついているなら、その距離を歩ききる前に塀や物置に突き当たるかどうかで、倒して切れる庭かどうかがだいたい分かります。
歩く方向は一つで足りません。
傾いている方向と、そこから左右に少しずらした方向の三本を歩いてみると、ロープで振れる範囲まで含めて確かめられます。
三本とも途中で何かに当たるなら、その木は倒さずに切ることになります。
高い木ほど、必要な帯は長くなります。
屋根を越えている木だと、庭を正面に使っては収まらず、敷地の対角線を使って初めて足りる、という現場が出てきます。
川口の伐採で倒す方向が取れなくなる、庭のよくある条件
歩いてみて途中で止まるものには、だいたい決まった顔ぶれがあります。
隣家との境界ブロックが樹高より手前にある。
敷地の上や庭の脇を電線が通っている。
カーポート、物置、給湯器、エアコンの室外機がその方向にある。
庭石や灯籠、井戸のふたが埋まっていて、幹が落ちれば割れる。
そして、傾いている方向が道路側になっている。
最後の道路側は、他と少し性質が違います。
庭の中の物は動かせますが、道は動かせません。
倒れた木が一瞬でも道路にはみ出すなら、その方向は使えないものとして最初から外します。
塀の内側で完全に受けきれるかどうかが分かれ目です。
なお、電線や引込線に枝や幹が触れている場合は、切り始める前に電力会社へ連絡が必要になることがあります。
その確認は提携業者のほうで行います。
川口市の東部にある安行(あんぎょう)一帯は古くからの植木の産地で、住宅地の中にも大きく育った庭木が残っています。
家が建った時期より木のほうが先にあった、という庭では、木の傾きが今の建物の配置とかみ合っていないことがあります。
庭が狭いから倒せないのではなく、木の向きと建物の向きが合っていないために倒せない、という形です。
倒せないと分かったあと、切り方はこう変わる
三方向とも塞がっていても、木が切れなくなるわけではありません。
倒す代わりに、木に登って上から順に切り下げます。
太い枝や幹の一部はロープで吊って、下ろす速さを制御しながら地面に置きます。
全部を切り下げるとは限りません。
上半分だけを切り下げて木を短くし、残った幹は必要な帯が短くなったところで倒す、という組み合わせもよく取ります。
倒せるか倒せないかは、木全体で一度に決まる話ではなく、高さを削っていく途中で切り替わるものだと考えてください。
この方法は、木の状態と周りの条件で工数が数倍変わります。
ですから、写真だけを見て金額をお出しすることはしません。
現地を見て、登れる幹か、下ろした材を置ける場所があるか、搬出の通り道が取れるかを確認してからお見積もりをお出しします。
今日、庭で確かめておくこと
やることは三つです。
根元にしゃがんで幹を見上げ、どちら側へ傾いているかを見る。
その方向へ歩数を数えて、何歩目で何に突き当たるかを覚える。
最後に、その突き当たったものと木が両方入る位置から写真を1枚撮る。
見積もりを頼むときに「傾きは南側、その方向へ6歩でブロック塀」と一言添えられると、倒して切れる庭なのか、上から下ろす作業になるのかの見当が、伺う前の段階でつきます。
当日に段取りを組み直す手間が減るぶん、話が早くなることが多いです。
この記事に関するよくあるご質問
- 倒す方向は好きな側を選べますか
- 完全には選べません。
幹の傾きと枝の偏りで木が倒れたい方向が決まっていて、ロープで引いて振れる幅はその周りに限られます。
重心と正反対へ倒すのは、幹が太いほど難しくなります。
現場では、木が倒れる方向を先に見てから、その方向を庭で受けられるかを考えます。 - 倒すのに必要な広さはどのくらいですか
- 倒れた木は、樹高とほぼ同じ長さの帯を地面に取ります。
枝が横に張っている木は、そこからさらに左右へ枝が倒れ込むので、幹の線の両脇にも余地が要ります。
根元から傾いている方向へ歩数を数えて、その距離を歩ききる前に塀や物置に着くようなら、倒さずに切り下げる方法に切り替えます。 - 倒せない庭では木を切れないのですか
- 切れます。
倒すスペースが取れない場所では、木に登って上から順に切り下げます。
木の上半分だけを切り下げて、短くなった幹を最後に倒す、という組み合わせもあります。
この方法は木の状態と周りの条件で工数が変わるため、金額は現地を見てからお出しします。