玄関先で決めなくてよい理由
インターホンが鳴り、「お宅の木、枝が電線に近いですよ」「台風が来る前に切ったほうがいい」と声をかけられる。
そのまま「今日なら近くで作業しているので安くできます」と続く。
こういう場面で迷っている方に向けて書いています。
まず押さえておきたいのは、自宅の玄関先や庭で結んだ伐採の契約は、特定商取引法の「訪問販売」にあたるということです。
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、訪問販売を「営業所等以外の場所(例えば、消費者の自宅)で契約を締結等して行う商品、特定権利の販売又は役務の提供等」と定めています。
木を切る作業は役務の提供なので、この枠に入ります。
訪問販売には、事業者側に守るべき決まりがいくつも課されています。
逆に言えば、その決まりに沿っているかどうかを見れば、その場で返事をしなくても判断の材料はそろいます。
木の状態が本当に急ぐものかどうかは、決まりを確かめてから考えても遅くないことが多いです。
なお、営業のために結ぶ契約や、現金取引で総額が3,000円未満のものはこの法律の対象外です。
ご自宅の庭木の伐採なら、ほとんどの場合は対象になるかと思います。
最初の1分で確かめる3つの名乗り
訪問販売では、事業者は勧誘に先立って次の3つを告げなければなりません。
- 事業者の氏名(名称)
- 契約の締結について勧誘をする目的であること
- 販売しようとする商品(権利、役務)の種類
「近くを通ったら気になったので」「点検に来ました」で話が始まり、会社名も、伐採の契約を勧めに来たことも言わないまま木の話に入っていく場合、この3つがそろっていません。
名乗りがはっきりしない相手とは、金額の話に進む前にいったん話を区切ってかまいません。
確かめ方は単純で、「会社名と、今日は契約のご案内で来られたのかを先に教えてください」と聞けば足ります。
名刺を受け取ったら、その場でスマートフォンで撮っておくと、あとで書面と照らし合わせるときに使えます。
断ったあとのことも決まっています。
消費者が契約しない意思を示したとき、その訪問のまま勧誘を続けることも、日をあらためて勧誘することも禁止されています。
「いりません」と一度はっきり伝えれば、それ以上の説明を聞く義務はありません。
受け取る書面に載っているべき項目
話が進んで申込みや契約に至ったとき、事業者は書面を渡さなければなりません。
記載が必要な項目は、消費者庁のガイドで次のように示されています。
- 役務の種類、対価、支払いの時期と方法、役務の提供時期
- 契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項
- 事業者の氏名(名称)・住所・電話番号・代表者の氏名
- 契約担当者の氏名、契約の申込みまたは締結の年月日
- 契約解除に関する定め、その他の特約
伐採に当てはめると、見ておきたいのは「何本の木を、どこまで(切るだけか、切り株を抜くか、処分まで含むか)、いくらで」が書いてあるかです。
口頭で「全部込みで」と言われても、書面に処分が入っていなければ、作業のあとに別の費用を求められる余地が残ります。
もう1つは事業者の住所と電話番号です。
携帯番号だけで所在地の欄が空いている書面だと、あとで解除を伝えたいときに送り先が分かりません。
書面を受け取ったら、その日の日付を書面の余白か手帳に書き留めておいてください。
次に説明する8日間は、この日から数えます。
8日間あっても、切った木は戻らない
訪問販売では、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができます。
これがクーリング・オフです。
ガイドによると、役務がすでに提供されていても、その対価を支払う必要はなく、損害賠償や違約金も求められません。
土地や建物その他の工作物の現状が変わっている場合は、無償で元に戻してもらうことができます。
また、事業者がクーリング・オフについて事実と違うことを告げたり威迫したりして、消費者が誤解や困惑からクーリング・オフしなかった場合は、8日を過ぎていても行えます。
ここで伐採ならではの問題があります。
お金の面では8日以内なら取り戻せても、切り倒された木そのものは元の姿に戻りません。
何十年もかけて育った庭木であれば、なおさらです。
「今日やれば安い」と言われて当日に作業を始めさせてしまうと、あとから冷静に考えて解除しても、庭は切られたままになります。
ですから、仮に契約をしたとしても、作業日は書面を受け取った日から8日より後に置くのが安全な順番です。
急ぐ理由として「倒れそう」と言われたなら、その説明が自分の目で見て納得できるものかを、日を置いて確かめてみてください。
川口で伐採を自分から頼むときに手元に置く材料
訪問を断ったあと、木そのものは気になったままという方も多いかと思います。
その場合は、自分から複数の先に問い合わせて、同じ条件で金額を出してもらうのがいちばん比べやすくなります。
自分から依頼した相手なら、日程も作業範囲も自分の側で決められます。
川口で伐採を受けている私たちの場合、現地調査もお見積もりも無料です。
LINEで木の写真と、だいたいの高さ(人の背より高いか、屋根を越えているか)、本数をお送りいただければ、おおよその金額をお伝えできます。
写真だけでは搬出経路や隣家との距離が分からないため、確定金額は現地を見てからお出しします。
金額を見てからお断りいただいて結構です。
参考までに、私たちの料金表では、玉切り・搬出・処分まで含めた1本あたりの税込額を、樹高3m未満で11,000円、3〜5mで27,000円、5〜7mで52,000円としています。
訪問した業者に提示された金額がどの高さの木に対するもので、処分が含まれているのかを照らし合わせる目安になるかと思います。
今日できることは1つです。
玄関先で受け取った名刺や書面があれば、写真に撮り、受け取った日付を書き添えておいてください。
書面が無いなら、それ自体が判断の材料になります。
この記事に関するよくあるご質問
- 突然訪ねてきた業者と伐採の契約をしてしまいました。取り消せますか
- 自宅など営業所以外の場所で結んだ契約は、特定商取引法の訪問販売にあたります。
法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができます。
ただし営業のために結んだ契約や、現金取引で総額3,000円未満のものは対象になりません。 - もう木を切られてしまった後でもクーリング・オフはできますか
- 役務がすでに提供されていても、8日以内であれば対価を支払う必要はありません。
土地や建物などの現状が変わっている場合は無償で元に戻してもらうことができます。
ただ、切り倒された木そのものが元の姿に戻るわけではないため、書面を受け取った当日に作業を始めさせないことが大切です。 - 一度断った業者がまた来ました
- 消費者が契約しない意思を示したあとに、その訪問のまま勧誘を続けることや、あらためて勧誘することは特定商取引法で禁止されています。